抑圧は、百害あって一利なし
2017年07月08日 (土) | 編集 |
 確実に言えることは、「抑圧すれば、ゆがむ」ということですね。

過激すぎる?「少年ジャンプ」のお色気表現に賛否 「息子には読ませない」「エロは成長に必要」
2017.7.6 キャリコネ編集部

 週刊少年ジャンプの連載中の作品がセクハラまがい、または性犯罪を「当たり前」のものという意識を植え付けかねないものなので反対する、というご意見の弁護士さんのお話がずいぶん広まったようで、ふーん、と眺めております。

 ジャンプももう何年も「見てない」(読んでない以前)しなー……、「進撃の巨人」はもっぱら単行本で読むだけだから本誌は存じ上げない。
 でもまあ——昔から少年誌ってそんなもんじゃなかったですかね。

 比較的近くに住んでいた従兄がおりまして、野郎ばかりの3人兄弟。そこへしょっちゅう紛れ込んでいたので、子供の頃は少年誌はほぼ一通り読んでました。ジャンプ、マガジン、サンデー、キング、……あと何かありましたっけ;;

 まあセクハラやらエロやらはありましたなあ……、男臭いのもたくさんあったし、気持ち悪い暴力ものも、軽やかなラブコメも。
 ああいうのは嫌がる人は嫌がるかな……嫌がるかもな。でも私は平気で、永井豪さんの「ハレンチ学園」「けっこう仮面」読んでました。
 これが「デビルマン」と同じ作者かと思うと複雑な心境(笑)になっていたのも事実ですが。

 あまりに過激なものはよろしくないでしょうが、多少のエロならよろしいんじゃないでしょうか。
 性的なものについてはちょっと異常なくらい厳格ってことで思い出すのは、例えばビクトリア朝のイギリスですが、基本、一神教ってキレイゴトを言い過ぎだよね。
 厳格を通り過ぎて、非人間的ですらある。

 フロイトはその「非人間的」な19世紀後半の生まれですが、何の予備知識もなしに彼の著作を読むと、世の中のありとあらゆるものが下ネタに変換されるのでびっくりしますよ;;
 夢判断をそのまま自分に当てはめると、心当たりはないながら、でも、これがいう通りなら自分はものすっごい色情狂なのかと思えてくる。
 でも、あれは当時の人の意識の話。
 何かと解放されてる日本人には当てはまらない。

 当時のヨーロッパあたりの性的なものへの社会的抑圧は相当なもの。本来あるべきものを無理やり禁止、規制して抑圧した結果、潜在意識下では変態性欲がものすごい勢いと強さで「繁殖」した、ということが、フロイトの本を読んでいると見えてきます。

 ということで。
 ある程度の規制は社会としては必要ですが(人が刺激を求めるのはエスカレートするから)、むやみやたらに「無菌状態」にしようというのも不健全でしょう。
 これは体の免疫と同じで、雑菌と言われる環境がないと免疫も抵抗力も育たないんですよね。

 抑圧したってあるものはある。
 抑圧されれば人は歪む。

 漫画を禁止するよりは、多少ばばちいものに触れても動じない、揺らがない人格を涵養(かんよう)することを考える方が大事じゃないですか。

 親が無菌状態を作ってやったとしても、フツーに行けば親の方が先に死ぬんで、その子を死ぬまで無菌で守るということはできない。
 親がするべきことがあるとしたら無菌状態を作ることではなく、——この「穢土」の世界を生き抜いていける、そういう力を育てることじゃないでしょうかね。

 私も自分の同級生などの中に、そうやって無菌状態にしようとした親を持ち、苦労していたやつが何人かいます。
 なに、親がいくら禁止したって、見るべきものはちゃんと見てましたよ。
 むしろ自宅でゆっくり「読書」もできない環境だと、それこそ、コソコソする根性の方が身についてしまうようでした。

 もっと悪いと、エロを求めつつ、表面的には「それは良くないものだ」と過剰に嫌悪するようになる。
 今回の話題の発端となった弁護士さんも、そういうタイプなんじゃないの、と私は遠目に拝見してます。
 強い興味がある人ほど、拒絶反応も強い。それはどこかで自分自身を抑圧しているから。
 ………しんどいだろうなあ、とは、思います。
 思いますがその抑圧に他人を巻き込むなよ迷惑だから、——というのが、私の率直な感想ですね。

 だいたい、その漫画を禁止しようというのに「子供のため」というのが気に入らない。個人的には。
 何かあると「あなたのため」という奴は信用できない。本音は自分のためであり、自分が気にいるようにしたいだけであり、自分の「思い通りに」したいだけなのを、まるで他の誰かのことを考えているかのようにいう。
 偽善にも色々、種類がありますが、これほどタチの悪い偽善もない、と思ってます。

 本当にその子のことを思うなら、雑菌を正しく理解し対処できる知識と、仮に感染しても対応できる免疫が持てるようにしてやるべきところじゃないでしょうか。

 こういうものを放置でいいとは言わないが、過剰な禁止はろくなことにならない。そう思います。

 あと——結局、こういう漫画を読むことで、気づかないうちに、性犯罪への疑問を持つことさえ無くしてしまう、という危惧については、これは、私も同意できるところがあります。
 多分それが、「文化」の中に根付いていく。
 その危険性を指摘したものについては、こちら↓のブログにあって、私も完全に同意、でございます。

「ジャンプお色気♡騒動」に思う
ブログ「紙屋研究所」様 2017-07-07
http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20170707/1499363338

 そういう危険性については少年漫画に負けず劣らず、少女漫画も相当マズイ、という指摘。
 いつのまにか刷り込まれていく「社会常識」、「幻想」「精神的な”風土”」、それらの「呪縛」に気づいて抜け出すことの難しさ——。

 論じる価値があるのは、そちらの方かもしれませんね。本当は。
 
  
 
関連記事