憧れの方向性
2017年06月28日 (水) | 編集 |
 将棋は「指し」ます。
「打つ」のは囲碁です。

 ……と、思わずテレビ前で憮然としております。

 藤井聡太(ふじい・そうた)さんという、将棋界の大彗星が現れているわけですが、例によって例のごとくで、世間様の「フィーバー」、私は「跳ねっ返り」と呼んでおりますが、そういう騒ぎにいささかうんざり気味です。
 昨日もテレビを横目で見ておりましたら
「私もちょっと将棋を打つんですが」
 と言った人があったもんで、
「将棋は指すんです。打つのは碁です。……本当に将棋、おやりになるんですか?」
 思わず少々意地の悪い独り言。(^^;)

 個人的には藤井四段にはいろいろと感心しております。興味深いことも多々ございます。藤井四段ご自身に対して含むところはまったくございません。
 私がいささかムッとしているのは世間様の騒ぎの方。

 私だって将棋はネットで見る専門で、とても将棋が「わかる」とは言えませんが(門前の小僧習わぬ経を読む的に覚えることは結構ありますがその程度)、………でもさあ、将棋は指すのか打つのかも知らないような人々がなんでこんなに藤井さんに「熱狂」するのかなあ? そのへんがわからない。

 とは言え、こういう騒ぎは過去にもなんども(………なんども;;)みております。
 言っちゃなんですが一番滑稽だと思うのは「どうやったらうちの子もあんな風になるのか」という人々。
 そもそも「あんなふう」ってどのことを指しているのか。

 藤井さんであれば、あの頭の良さか。あの「大人」ぶりか。将棋が強いことか? でも将棋が好きかどうかは親が決めたことじゃない。頭の良さについては、まず親が違うということを忘れてんじゃないの?

 藤井さんの学習法なり知育玩具なりなんなり、参考にできそうだと思えばそれを取り入れるのは結構でしょうが、「うちの子」と藤井さんではありとあらゆる「背景」が違う。
 彼には効果的だった教育法も「うちの子」には合わない、ということも、ジューブンあり得るわけですよね。個性が違うんだから。

 なんでしょうかね——私は昔っからこういうのが嫌いで。

「よそ様のお子さん」と「うちの子」は、まるで別のもので、資質も背景も遺伝情報も、ものの好みも性質もその指向性もまるで異なる個性。
 まるで異なる個性なのに、「あの枠を持ってくればうちの子も、あの枠に沿ったようになる」と考えている、あるいは考えているかのような言動や騒ぎって、どうも——ひと事ながら、不快に感じます。

 うちの子だろうがよそ様のお子さんだろうが、どのみち、何かの枠を持ってきて、それその通りに(自分の思惑の通りに)人を当てはめよう、という考え方感じ方が、私には恐ろしいと共に「おぞましい」のです。

 自分の果たせなかった夢を子に託す、みたいな発想って、どうも世間には多いようですが、親子だろうがなんだろうが、人としてはそれぞれ独立した存在なんで、誰かの思惑どおりにいくはずがないんですよね。
 それでも幼い子供は必死になって親の「期待」とやらに応えようとする——これはもう健気なんてもんじゃなくて私などは本気で泣けてくる。
 ……でもそうやって、本来の自分を見失い、その後、なんとか見つけるまでに、何年もの時間を費やす人が、世の中にはどれほどいるだろう。

 もちろんこれは親子の話だけではなく、学校の先生でも、あるいは友人同士の間でも、他人を自分の思惑どおりにしようとする、そういう「関係」はそこら中にありますね。
 そこら中にある、と言わなければならないことを、私は悲しいことだと思うし怒りも感じる。

 そういうあらゆる人間関係に、他人をコントロールしようとする人の問題はあるんですが、でも、中でも、親子関係というのは、子供からすれば親というのは「生殺与奪の権を握る」——養育者はいつでも殺人者になり得る、という切羽詰まったものなので、特にここのところには敏感になってしまうようです。

「うちの子」の適性を探り、この子を「活かす」方法を見つけたい、という中で、藤井さんのお話が参考になる、というのならわかる。
 でも、目の前の「うちの子」を「無視して」、「藤井さんのようにしたい」という発想であるなら、私としては、バカタレ、くらいのことは言いたくなります。
 
 藤井さんの登場に驚き、目を奪われ、「あんなふうでありたい」と思っているのはご自分なのでは?
 自分があのようにありたいと思うのに、でも自分ではもう「手遅れ」だから、「うちの子」をなんとか……、ということじゃないのかと、大きなお世話ではありましょうが、そういう「感触」を感じることがあって、どうにも気持ち悪い。

 自分があのようにありたいと思うなら、自分がやればいい。幼稚園には入れませんが、そのメソッドを聞いて応用するなり、知育玩具を自分も使ってみるなりすればいい。
 別にこれは冗談で言ってるんじゃございません。興味があるなら自分がやれば? というだけのことです。

 それに、これは真顔で言いますが、知的な刺激って年齢関係なかったりしますしねー。
 先日は人間の知能のピークは50、60、70代、というお話をしました通りで、脳みそ自体は、いつでも知的刺激は受け入れOKという器官なんですよね。
 内臓や神経組織がバテていて、脳を生かせないことが多いってだけで。

 どうせ藤井さんすごいねと盛り上がるなら、自分自身に取り入れればいい。そう思いますね。

 私も親だのセンセイだのの「押しつけ」が嫌で嫌で嫌で嫌でしょーがなかったもので、つい、いまだに、「その人自身を見ずに勝手に他の何かを押し付ける」ものをみると、人ごとでもむかっとしてしまいます。
 
 藤井さんについては——連勝記録もすごいんですが、これ、「デビュー以来負けなし」の方が、私には驚異的に思えます。
 四段というのはまったく名目でしかなく——、実際には、どのへんが妥当な段位なのだろう、と、ぼんやり考えつつ、拝見しております。

 ついでに言うと、これほど将棋が盛り上がるのも、その基礎を作ったのはまずはニコ生将棋さんだと思うんですが、テレビを見ているとアベマ Abema TV さんのことしか言わないのも、大いに不満に思っているところです。

 ものが何であれ、パイオニアをまず敬う私としましては、アベマさんを見ることはたぶん、ないと思います。
 よほどのことがない限り、私はニコ生さんで拝見していきたいです。(← やや意固地。(^^;))
 
 
 
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