ただでは去らぬ人
 本日は夏至でございます。
 一年で最も明るく、美しい季節のはずですが、あいにく日本は梅雨時。
 雨に降り込められその日差しすらろくに見ないまま、蒸し暑い夏に突入していくのですね。

 因果だな〜、こんなに(晴れている日は)美しいのに、と毎年残念に思いますが、でも、この雨期があるからさまざま恵みもあるわけで——、大のご飯党の私としては、梅雨に恨み言を言うべきではありませんね。(^^;)

     ●

 昨日はニコ生さんで、将棋、竜王戦予選(竜王と対局する、挑戦者を決める)を見ておりまして。

 加藤一二三(かとう・ひふみ)九段は御年77歳。失礼ながらこのお歳で現役棋士と言うのは本当に大変なことですが、今年1月の順位戦でC級2組からの陥落が決まり、規定により、定年、ご引退が決定しました。
 が、この竜王戦予選が残っていたので、現役の扱いでしたが、昨日は高野智史四段に敗れたため、ご引退となりました。

加藤一二三九段が引退 「将棋界のレジェンド」は62年10カ月間、こう戦った
2017/06/20 HuffPost Japan  執筆者:吉川慧

勝負師ひふみんの闘志…「感想戦なし」に理解の声
高野智史四段に破れた加藤一二三九段。対局後に「感想戦」をせずに将棋会館を後にしたことに多くの理解の声があります。

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 今回の対局、加藤九段の「現役最後の対局」と言われ続けておりまして、もうこれが最後と決まったかのような言い方に、へそ曲がりの私は、「ふんなもん、実際終わってみるまではわからないじゃんか」と思っておりました。
 これはでも、なんについても言えることじゃないですかねえ……勝負事というのは、その場に立つ以上は、弱っていようが怪我をしていようが、ただの対戦者同士——そういうものじゃないでしょうかね。

 私は幼稚園生の頃から大相撲を見ておりまして、多くの人の引き際をも見てきたわけで——その感覚はもう、相撲でも将棋でもなんでも同じだな、と。

 おそらくは勝てないだろう、とは思われつつも、その場に立つ以上はその人は戦う人なんであって「敗戦決定者」ではない。
 じっさい勝負事というのは何が起こるかわかんないし、負けるつもりで戦う場所へ出ていく人もいないでしょう。最初から負けるつもりで行くとしたら、それはそれで相手に失礼なことになる。

 観客なんてもんは、所詮は無責任な第三者に過ぎないんだけれど、でも、最低限の敬意というものは払ってしかるべきじゃないんでしょうかね。
 ——というのが、昨日までの私の感覚でございました。

 ニコ生さんで将棋の対局を見ていると、ときどき盤面の上下を逆にした画像が表示され、これを「ひふみんアイ」と呼んでいます。
 これはもちろん加藤一二三先生にちなんだネーミングで、先生が以前、対局中、相手が離席したときに、相手の席に自分が立っていって盤面を眺め、指し手を思いついて勝ったというエピソードによるもの。

 地球儀や地図をひっくり返して——つまり南を上にして——見てみると、まるで違う星のようで面白いんですが、それだけで違うものも見えるし気づきもあるものですよね。

 加藤先生はそのお強さもさることながら数々の伝説をお持ちの超個性派。
 私もマトモに将棋を見るようになったのはネットで見られるようになってからで、先生の数々の武勇伝(笑)も、もっぱら人様から聞くばかりですが、でも、ニコ生将棋で解説をなさるのを見ただけでも、その伝説ぶりがしのばれました。

 何しろ恐ろしく頭の回転が早い。解説というよりは、途中からは自分が指し手を考えてしまい、それをまたものすごい速度で喋るので、聞いている方としてはボーゼンとするばかり(笑)
 なるほどこれじゃあお若い頃は本当に凄まじいくらいだったんだろうと、容易に思いつくほど。

 お人柄も楽しい方で人気者でいらっしゃいますが。
 それでも。
 昨日は、もう、素人目にも、形勢がはっきりして、それでも先生は粘っておいででしたね。いよいよという頃には長い時間、離席して、戻ってきたら、先に——立会人の方にでしたか、声をかけて、「感想戦はしません」とおっしゃり、それから、高野四段に向き直り正対し、——投了。

 そのあとはもう猛然としたスピードでお帰りになりました。
 
 その胸中は、とてもじゃないですが、「察するに余り有る」どころじゃないです……。
 何をいっても、僭越なんてもんじゃ済まない。きっと。

 私としては、今後は、あの名調子の、「みんなが置いていかれる解説」を聞く機会が増えたら嬉しいですけども。
 まあ、そんなことを言うのもね……、と。

 将棋ファンともいえないような「見る専門」のハンパな視聴者ですが、加藤先生の今後のご活躍を、さらに願う次第でございます。

 加藤先生は破天荒というよりは、どこか子供っぽいところがおありで、でもそれが可愛いと言うのかまったく憎めない感じなんですよね。
 あんなふうに歳を重ねていければいいなと思いつつ、でも、それも、年齢よりはお人柄だよなあ……と、思ってお見送りした昨日でした。
 
 
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