the reached idol
2017年06月19日 (月) | 編集 |
 昨日の話のちょっと補足。というより蛇足。

 アイドルというのはその意味するところを考えるのもなかなか興味深くて面白いんですが、しかし公私混同も甚だしく、ご結婚というプライバシーにズカズカ踏み込んで「裏切り」だなどというのはいかがなものか、と思ったわけですが。

 その後見かけたツイートに、「じつはファンはそれほど怒っていなくて(あれで!)、むしろ元メンバーだった人の方が怒っている、ように思える」というのがありまして。
 ああそれは考えてなかったな、と思い、「まとめ」などをちょこっと見ておりました。

 現在はそのアイドルグループを離れている(卒業したっていうの? ふーん)方に、なるほど厳しめのご意見があるようで。
 それもこういうことに詳しい方の説明によれば、やはりこれほどの人気グループに成長した初期メンバーというのはそれ相応の覚悟もあって、当然自分のプライバシーを犠牲にするくらいのものがあった。そのうえでの今日(こんにち)である。それなのに、そういう人たちが築いてきたものをあっさり踏みにじられれば、腹が立つくらいは当然だろう、とのこと。

 それが何であれ、「最初」の立ち上げというのは苦労を伴うもの。いわば「先人の苦労」を思わず、それを踏みにじる行為だという非難は、結婚というプライベートなことそのものではなく、それをああいう場で言うことが適切ではない、と言うご指摘ですね。
 なるほどそう言うことならわかる。
 ——とはいえ、そこまできちんと理性的に書いている人は私の目にはほとんど止まりませんでしたが。(^^;)

 ショックを受けてそのまま書けば、でもまあそうなりますよね……。そのへんは仕方ない。

 で。
 あの場でああいうことをいうのは不適切であるというのも、まあもっともといえばもっともなんだけど。
 それなら、先人が「築いた」ものって、なんなんでしょう?
 きれいで才能もあって、そういうステキなお嬢さんが「恋愛禁止」を打ち出し、ありもしない「疑似恋愛」を色濃く打ち出すことで「築いた」ものとは、なんだったんでしょう。

 私は自分がそういうアイドルといったものにはてんで興味がないままきてしまったので、どうもそのへんのことが、全然わかってはいないようです。

 その疑似恋愛をいかに多くの人が求め溺れるのか——アイドルは「偶像」ですが、生きた身でありながら偶像に自ら徹していく。
 虚像の上にさらに虚構を塗り固めることで築かれたものとは、なんなのか。

 私は生身の人間を「信仰」する趣味はない。それがどんな人でも人である以上は(自分と同じに)人間だ、という意識から動けない。

 以前から、アイドルにハマっていく人を興味深く思ってきましたが、こうなってきますと、「自らアイドルになろうとする」人は、なおさら、深まる謎となってまいります。

 なにオマエだって漫画だの小説だのにハマるオタク属性ではないか、と言われればその通りですが、媒体がそういうものですから、虚構は虚構だという意識はハッキリしてるんですよね。
 オタク用語では三次元とかナマモノとかいう、そこに生きている人間に、そんな虚構を載せることは、私にはむしろ、やれと言われてもできないこと。

 ネズミーランドでもなんでも、せっかくエンターテイメントとして用意されているものに対し、私は、そこにいる人間の苦労や現実を考えてしまう。
 こういうことがあるんだろう、そういうところが大変だよね……と思ってしまう。
「中の人などいない」とよく叱られるんですが、でも、あの世界一有名なネズミを見ても、心から楽しいと思ったことは一度もない。

 何かのショーを見ても、舞台装置や何かを操作している人たちのことが脳裏に浮かんで、どこか頭が冷えている。
 それゆえに、ああすごいな、と唸ることもありますが、でも、夢の世界に没頭することはない。
 これはもう性分でしょうから、しょーがないですね。(^^;)

 たぶん、娯楽——エンターテイメントというのは虚像なり虚構なりを楽しむものなんでしょうが、他人から祭り上げられてアイドルになるのではなく、自分からアイドルになる人、なろうとする人の——現実を、生身の自分を犠牲にして、虚像になろうとする心理は、アイドルのファンよりもさらに私には謎であり、興味深いものとなりました。

 そういう人たちが目指しているものはなんなのか。
 虚像に徹して篤い信仰の対象となることで、何を得ることを目指すのか。

 今の私ではそのあたりは「想像を絶している」としかいえませんが。
 いつか、そのあたりが、なるほど、と腑に落ちるといいな——。
 そんなことを思いました。

(本日のお題を the reached idol としたのは——これで意味が通じるかもわかりませんが——、”The Fallen Idol”のもじりのつもりです。(^^ゞ)
(”The Fallen Idol(=落ちた偶像)” は、グレアム・グリーンの短編を原作にした映画のお題)

 
 
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