真面目になるが人の衰え
2017年05月14日 (日) | 編集 |
 江戸川柳に「真面目になるが人の衰え」というのがありまして、これを聞いたときは、まったくだなーと思いました。
 真面目——物事をきちんと始末するという意味でならいいことですが、それ以外のことで真面目というのは、融通きかないとか、思いつめ過ぎてストレス過多、とか、そういう弊害の方もあるんですよね。

 現在では「いいこと」のように使われる言葉で、もともと(江戸時代まで)はいい意味じゃなかったものは、「真面目」、「頑張る」、そして「こだわり」。

 こだわりは元は良い意味ではなかったのに、今やそれが美点のように言われる。
 これは割と最近の「変化」で、戦後のお話。比較的、最近のこと。真面目や頑張るは明治以後かな。
 
 これらの言葉を並べて思うのは、元来の日本人の感覚では、変に思い詰める、執着する、という態度はよろしくないことだったんだな、ということ。
 幕末から明治はじめに日本を訪れた外国人による記述はいくつかありますが、そうと知って私が胸が痛んだのは、当時の記述にある、「日本人はよく笑う」というもの。

 ふざけているわけでは勿論なくて、よーするにジョークやユーモアですね。街は清潔にしているし、日本人の仕事ぶりはきちんとしたものだけれど、例えば荷物を運ぶので雇った馬子(まご)さんたちが、しょっちゅう冗談を言い合っては笑ってる、という。
 子どもたちは元気で闊達であり、子供を動物扱いする欧米とは違う、「子ども天国」でもあった、という。

 当時は「頑張る」——「頑なに張る」ことも、真面目になることも、こだわることも堅苦しくて融通きかなくて、本人はもちろん周囲の人たちすら、柔らかい笑いから遠ざけるもの、「苦しいもの」だという、そんな感覚だったんじゃないでしょうか。

 それが明治からここまではこの有様だもんなー……。
 今や、日本人はよく笑うなんて、誰がそんな評価をしてくれるだろう。いつもイライラしていて、何かあればすぐに怒って、不機嫌丸出しになって、どうかすれば暴力沙汰になることさえ珍しくない。
 この150年、ずいぶん様変わりしているんでしょうね、「文化」面でも。

 真面目も頑張るのも、仕事や生活をきちんとすることとは「別問題」ってことじゃないかなあと思います。

 私もすぐに「真面目」に傾くほうだからわかる。自分では真面目というより悲観的といったほうが的確な気がしますが。

 お世話になっている整体の先生はちょっと独特の感性の人。たまに本当にテレパスじゃないのかと思うほど、「なんでもお見通し」みたいで、ちょっとどきっとすることも(笑)

 ご自身もよく勉強なさっていて、患者さんに「生活指導」することも多い。
 やはり食べるものや生活習慣は大事で、そちらが正されないと、いくら治療をしてもすぐに元の状態に戻ってしまう。
 そのほうが先生は儲かるじゃないですかと冷やかすんですが、そうはいっても、治療の甲斐がないというのも、先生には残念なことなんでしょう。

 お酒やタバコの「たしなみ方」、内臓を痛めつけないための食事の注意点や、積極的にとったほうがいいもの——自家製で小豆を煮るならアクは取らないほうがいいとか、塩、醤油を使うなら、塩麹や醤油麹にしたほうが(塩分の害は同じでも)麹によるメリットや、何より美味しさが増すとか——、まあそんな話をしています。

 ということでフツーの患者さんは先生に、あれこれ「説教」されるわけですが、先日私が言われたのは、
「体に悪いからって何もかもを遠ざけるとか取らないっていうのも人生の楽しみがない。(例えば)油物を食べるということを1、しちゃったら、次には体にいいことを2とか3、やればいい」

 体に悪いからといって「遊び」部分をゼロにするのも不健康だし楽しくないでしょ、ってことですね。

 私はどうも、そうやってすぐに、ガチガチに自分を「縛る」ところがある。
 自分で自分に要らぬストレスをかけて自滅するタイプですね(笑) 真面目になるが人の衰え、と聞いたときは、あーこれだわ、と思いました。

 先生から説教される内容が、他の人とはちょっとチガウほどには、私も「衰え」ているってことですね〜。
 他の人には「体にいいことをしなさい」というのに、私は「体に悪いこともしないと楽しくないでしょ」と言われてしまう(笑) ろくなもんじゃないです(笑)

 何かに誠実に、一生懸命に取り組むことと、眉間に皺寄せて苦しむこととは別で、冗談を言いながら笑って上り坂を越えていく、そんな感じがいいんじゃないかなあ、と思います。
 むやみに自分を痛めつけることが「努力」してるということではない。痛めつけてるから努力してる「つもり」になってないか、ということは、ときどき自分でもチェックしたほうがいいのかもしれない。

 日本人もちょっとだけ「先祖返り」して、外国の方から、日本人はよく笑う、と評されるようになれたらいいでしょうね。
 
 
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