地獄に馴染む心理
2017年05月13日 (土) | 編集 |
 プレミアムフライデーが「失敗」だという主旨に取れる記事の見出しを、ネットで視界の隅にお見かけしました。

 そのときは時間もないので「またそう言うネガな話かい」と思っただけで通り過ぎましたが、早速「むしろプレミアムフライデーが本気でうまくいくなんて思ってたやついるのか」と嬉しそうに乗ってきているツイートをお見かけしまして。
「うまくいくと思っているのではなく、うまくいってほしいと思ってるヤツはここにいますがねえ、いけませんでしたかしら?」
 と思わず独り言。

 しかし何ですね、これで2、3回しかやってないことに「失敗だ」って決めつけるってどんだけ気が短いんだと思いますね。
 4、5人の小さいグループのことなら分かりますが、ざっくり500兆円の経済規模の話が、2、3ヶ月で決めつけられてたまるかい。

 ともあれ、失敗って誰がそんなこと言ってんの? と思って検索して、いくつか記事をちゃんと読んでみましたが、失敗と言えるだけの材料はないんですね当たり前だけど。
 悲観的なひと、やや楽観的なひと、それぞれあるにしろ、「プレミアムフライデーの”効果”」はこのようにしたら目に見えてくるのでは? という、提案がちゃんと書いてあったので、それはまことに結構なことだと思いますね。

 プレミアムフライデーは一つには働き方改革の「既成概念くずし」を狙っているところがあります。経済効果はともあれ、私としてはこちらを期待しております。
 
 人間てのは妙な生き物で、現状が自分には辛い、くるしい、と泣き言をいうのに、じゃあそれを変えましょう、といって本当に行動する——つまりは「改革」、と言うとビビられるのなら「改善」でもいいですが——、そういう人が現れると、とりあえず遠巻きにし、こいつ本気だと思うと足を引っ張ったり悪口を言ったり、とにかく「妨害」するんですね。

 心理学でも説明があると思いますが、例えそれが自分のためになることでも、「現状を変えることへの恐怖」にあっさり負けてしまうことがある。
 こんな現状は嫌だと泣き言を言うのに、じゃあそれを変えましょうと言われると、現状が変わることに恐怖心を抱き、「今のままでいい」と言って拒む。

 そんなバカなと言う人もあるでしょうが、そういうバカなことをしてるんですよ、私どもは。
 結構、日常的に。

 人は、地獄のような環境にも馴染んでしまうところがある。新しい環境への恐怖心が、地獄に馴染んで生きることを選ばせることがある。

 プレミアムフライデーが、現在の病的な「労働時間への思い込み」を変えるきっかけになることは十分期待できる。
 そうなれば、最も恩恵を被るであろう人たちが、でも、結構、プレミアムフライデーを「嗤う」んですね。
 バカにして見下して、「そんなことできっこない」と言う。

 私はどちらかといえば保守派であり、革新なんてものに「正義」を見出すタイプではありませんが、でも、「それでいい方向へむかえるなら、やってみましょう」と思う方。

 幸い、今回「失敗」などと見出しでうたったのは、人目をとにかく引かなきゃいけない、その「方便」であり、実際の記事の内容は概ね「こうしたらもっと効果が上がるのでは」「ちゃんと定着するにはこれが必要では」と言う”前向きな”ものだったので、まあよかったな、というところ。

 それより、おそらくちゃんと記事は読まないまま、「プレミアムフライデー失敗」と聞いて「喜んだ」人がいた、という方がやっぱり「問題」——私としては興味深いところでした。

 こういう人たちが多くいると、成功するはずの改善策さえ潰されてしまう、ということへの警戒心を持っていきたい。
  
 
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