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評価の進歩

『第20回文化庁メディア芸術祭』大賞に『シン・ゴジラ』『君の名は。』など
2017/03/16 17:47 CINRA.NET



 2016年は邦画の当たり年と言われてましたね。いい作品がそろったことも大きかったけど、ようやく、評価の仕方も変わってきたのかなとも、思います。

 以前であれば特撮やアニメ作品などは「子供向け」ということで、作品が良かろうがなんだろうが、こういう賞からは「対象外」扱いされていたところ。

 日本の映画なんぞ寒風吹きすさんじゃってお話にならなかった時代、異彩を放った良作は何と言っても「パトレイバー劇場版」(1作め)だったんですが(断言する。だった、のです)、アニメだというだけでろくにノミネートもされず、私もいい加減、頭にきていました。

 そもそも、アニメ=子供向け、の発想が意味不明なうえ、子供向け作品は大きな賞の受賞対象にならないというのはさらに意味不明。
 子供向けであれば、だからこそ良作である「必要」がある。子供向けだから「くだらない」というレッテルをいきなり貼る方がくだらない。——と思ってきました。

 また、これは日本の悪いところだと思うんですが、何かっつーとすぐに業界全体で「カルテル」化する。
 そうすると、そのカルテルの中だけで「しか」通用しない評価や価値観を作り、これに頼るんですよね。

 北野たけしさんが最初に映画を作ったとき——まだ海外での評価も受ける前の時点では、カメラワークがどーたらと偉そうにこき下ろす声を聞きました。
 従来の日本映画界とやらではカメラワークも決まりきった定石があるのか(私は存じませんが)、それを外れているということのようでした。

 こういう時はこうやって撮るというのが暗黙のうちに、そうも詳細に決まってんの? あらまあ。日本の映画が絶望的にツマラナイのも道理だよね〜、などと私も憎まれ口を叩いておりまして。
 その後、その作品が海外で高評価を得ると、いきなり静かになったのはもう大笑いというほかはない。

 一時期は、日本映画界とやらでまともにコンテ切るのは(アニメじゃなくて実写の方ですが)黒澤明監督くらいだと聞いて——嘘か本当かは存じませんが、本当だったらエライことだな、と卒倒しかけたこともある。

 ということで、上記、文化庁メディア芸術祭、シンゴジラ受賞についてのコメントが、まともなので感心しました。
邦画の作り方がここから変わっていくのではないか
作品制作現場における思考停止及びルーティン化していた部分を破壊し、新しいステージに進んだ

 変わっていくことをよしとする、というところに、まずは「へー」と思います。
 たぶん以前には、決まりきった手法や紋切り型のテンプレートから外れればそれだけで意味不明の非難があったことを思うと、だいぶ「進歩」したんですね、と思います。(^^;)

 評価する人たちがまず軸を変えている、というところが、私には興味深いし、ぜひ、そのようであってもらいたい、と思います。
 結局どれほどいいものが世に現れたとしても、それをきちんと評価してくれる人がいないと、せっかくの宝物も活かしきれないことになるので。

 昨年ヒットした作品群が素晴らしかったのはもちろんですが、それを評価する側も、少なくとも20年前よりは、「まとも」になってくれたのだとしたら、それはありがたいことだな、と思って拝見しました。

 日本アカデミー賞も変わっていたんだなあと思ったのは、最優秀アニメーション作品賞が「この世界の片隅に」だったり、「君の名は。」が最優秀脚本賞というのも、へー! という嬉しい驚きでした。

「君の名は。」の脚本、実際、すごいなと思いました。私も途中で思わず時計を見て、「ここから、この広げた風呂敷を畳めるのか?!」と変な心配していたんでしたが、終わってみれば、おお、見事な、と感動するばかり。(^^;)

 でも、そういうものをアニメ作品だからとラベルを貼って切り捨てず、評価した、ということを、評価したい。

 文化庁メディア芸術祭のこのコメントも、評価する側の変化があったということを示して、ありがたいな、と思います。
  
 
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