超絶・純愛
「君の名は」と言えば、うちの母(70代半ばほど)にとっては、その昔、放送時間になると銭湯の女湯が空になったという伝説のラジオドラマのこと。(文字通りの伝説であって実際はそこまででもなかったそうですが)(大人気だったのは間違いない)

 そういう世代の母に、ただいま大ヒット上映中の「君の名は。」の説明をしたのもなかなか楽しゅうございました。(^^;)
 
 うちの母は——聞いたときには、だてにアタシの親じゃないんだなと感心しましたが、——その昔のラジオドラマの、主人公二人のすれ違いっぷりが大嫌いだった、とのこと。
 いわゆるメロドラマですね。なんだかいつまでもはっきりしないで愚図愚図愚図愚図した展開。

 私もそういうのイライラしてくるのでダメなんで——何を隠そう、マクロスシリーズお馴染みの、あの三角関係ってやつだけが気に入らないでおります。(^^;)
 自分は人間の造りが単純のせいで、ああいう、なんかハッキリしない、心の機微みたいなものが苦手。

 映画「君の名は。」と、昔のラジオドラマとの区別は、タイトル最後に「。」があること、と教えておきました。
 君の名は。の方も、すれ違いっちゃあすれ違いだけれども、このすれ違いはいいよ。とも。
 
 映画「君の名は。」のすれ違いは、本来ならまったく出会うこともなかっただろう二人なので、むしろ、すれ違ってる方が奇跡。
 ラブストーリーというものがあるとしたら、この映画は、そのストーリが「始まる前」の状態を描いていて、しかもそんな無茶なことをやって、なおかつ、ちゃんと映画になっているところがスゴイ。

 ただ、従来型のラブストーリーを期待した人には、ものすっごい肩透かしになるし、期待したことは何ひとつ起こらないので(物語以前、なのだから当然)、欲求不満が募って当たり前。
 であるにもかかわらずここまで成功したのは、まったくエライものなんである——と、説明しておきました。

 物語「以前」でありながら起承転結があるってすごいね、と母は笑っておりましたが、
「昔のラジオドラマよりは面白そうね」
 と申しましたその口調。
 半ば吐きすてる感じで言いましたわ、………そんなにひどかったん、昔のって。(^^;)
(お好きだった方には申し訳ないことですが;;)

 セカチューこと「世界の中心で愛を叫ぶ」がやはり大流行となった頃にはさかんに純愛、ということが言われましたが、「君の名は。」は純愛も純愛、——何しろ外へ向かって出て行く以前、本人の「気持ち」があるだけの、ストーリーとも言えないようなストーリー。

 それにフラストレーション高めることもなく、ただ、その「気持ち」自体に寄り添って、思わず落涙、——という人が多かった、ってことで、私としては、もちろん制作者の技量も大したものだと思いますが、観客の側の、「純粋さ」に同調できるあたりに、「日本人もまあそう悪くない」と思った次第。

 だというのに。
 聞いた瞬間、「大丈夫なのか…」と心配になりました、こちら。

「君の名は。」 ロンドン映画祭に出品 早くもヒットの兆し
2016/10/15 18:12 FNN

 他のことはともかくまた「口噛み酒」が誤解されるのかな、ということもあるけど、あの「ストーリー以前を描」いたものを愛でてもらえるものだろうか……、と、ちょっと気になりまして。(^^;)

 それとも「まだ片思いにすらなっていない、人が心に抱えている気持ちそのもの」を描いただけの、その素朴であることは、万国共通として共感されるのか。

 上記記事を見ますと「感情に訴える」というお客さんの感想が紹介されていますが、それは全くその通り。人間関係も、恋愛物語でもない、ただ、人の気持ちを主題にしている。
 つまりはその気持ちに共感できないければ、「お話にならない」ものなので。

 感情的であることを「女性的」な「欠陥」として排斥しがちな文化圏では、こういうの、ダメなんじゃないの? と、私は聞いた瞬間には心配になりました。
 共感する人はもちろんいるでしょうが、果たしてそれが何人いるのか……なんて思っているのですがどうなりますか。

「君の名は。」に共感できず、フラストレーションを高めた人は、それはそれで「わかる」。
 ストーリーは「何もなく」、散々前フリがあって、終わって、やっと物語が始まるのかと思ったら、そこで映画自体は終わる。………夏目漱石の「それから」と同じですね。(^^;)
「それから?!」
 と叫びたくなったところで終わる、という。
(直接の連作ではありませんが、内容としては、三四郎→それから→門)

 主人公たちの「気持ち」に共感できないと、そりゃあ欲求不満で爆発もしますよこの映画。

 考えようによってはなかなか実験的な映画なのかもしれません。

 他者への共感をよしとする文化を持つ日本人には「アリ」でも、感情面を押し出すことを排斥する文化では、当然「無いわー」とされる……んじゃないかと。
 そう思いますと、外国の映画祭へ出品と聞いた瞬間には、「けっこう無茶なことなんでは…?」とビビりましたが。
 楽しんで——気に入ってもらえたら、いいな、と思います。

        ●

 実は本日はお出かけしておりまして、この投稿も、前日に「予約投稿」をしております。

 明日、明後日も午前中立て込むため、投稿ができるかはちょっとわかりませんが…遅刻はしても、あまり休まないようにしたいと思っております。

 何はともあれ、では、行ってまいります。m(_ _)m
 
 
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