ファンごころ
 注目されていたノーベル文学賞は、アメリカのボブ・ディランさんに授与となりました。
 選考委員(ていうのか)は、極力、賭けをする人々を喜ばせたくないらしいな、と思ったり。(^^;)

 とはいえディランさんには心よりお祝いを申し上げる次第です。歌手(シンガーソングライター)のイメージが強いですが、近年は詩作もなさっていたとか。
 歌詞というのも文芸ではありますし、……文学賞は、ただ文学、文芸というだけではなく「文系の文化」そのものを対象として考えている、という表明にもなったように思いますね。

      ●

 日本では村上春樹さんの受賞が期待されて久しいですが、興味深いのは、ご本人よりもファンという方々の盛り上がりの方。

 熱心なファンのことを「ハルキスト」とお呼びするそうですね。単に作品を好むばかりではなく、作品から村上さんの個人的な趣味などにも傾倒し、作品世界はもちろん村上春樹さんの特色を、自分のライフスタイルにまで反映させる、という。

 そこまでくるともう一種の「信仰」かもな、と私などは思うわけですが、毎年、このハルキストさんたちの盛り上がりを、マスコミは面白おかしく取り上げているようです。
 で、昨日もニュースを見ながらうちの母がちょっと不愉快そうに申しましたのは、
「この人たちは本当に村上さんのファンなのか?」
「え? そうなんでしょ? なんで?」
「受賞が決まればそりゃ嬉しいだろうけどさ——さんざん盛り上げておいて落選て聞いてさ……本人の気持ちとか考えないのかね?」

 本人の気持ちって……、
 ……ああ、村上春樹さんご本人のね。(^^;)

 さて。
 私はあまり何かや誰かの「ファン」になることは多くないし、なったところで、一歩も二歩も気持ちとしては後ろに引くところがあるし、生身の人間を「信仰」する趣味などさらにない——という、ちょっとばかり「冷たい」タイプなので。
 あれが「正しい」ファンのあり方なのか? という疑問には、なんともお答えいたしかねます。(^^;)

 ただ——選考結果を待つというのは正直、落ち着かなくて嫌なものだし、落選というのはどっちにしたってがっかりしないわけにはいかないんだし。
 ご本人のお気持ちを思えば、——私なら、当日まで騒ぐどころか、むしろ、「そっとしておく」くらいの気持ちで過ごすでしょうね。
 受賞が決まればおめでたいことですから、そこはもう、大喜びしていいと思うけど。

 ただ。
 こういう芸術関係のものは所詮は「誰かの好み」でしかない。というのが私の思うところ。

 世界規模で集められた上での「最終候補」に、作品のレベル、品質、というところに大きな差異があるわけはないんで。
 だとしたら、一体これは「何」を競っているのか? というのは、——私にはもう、そもそもそこが疑問であり、てことは、こういう賞の存在意義自体をバッサリ切って捨てているくらいなんで。
 
 賞がもらえるのはご本人の業績に「おまけ」がついたようなものであり、そんな騒ぐようなことじゃないだろ………というのが、私の見るところ。

 賞があろうがなかろうが、自分が好きだと思うものは好きだし、それはもう、自分以外の誰かの評価なんて関係ないんで。
 科学の方はそれでもね、目に見える成果とか、論文の引用数から見るというような相対的な評価があるんでしょうが。

 芸術って、絶対評価で行くしかないものでしょうそもそも。
 他と比べたってしょーがない。仮に、比べた上でこちらの方が優れていますと言われても、自分にとって魅力がなければ、そうですか〜素晴らしいですね〜と言いながら後ずさりしていく(笑)

 ということで。
 ノーベル賞もいろいろありますが、平和賞と文学賞には私はあんまり、興味ありません。(^^;)

 ただ、ファンというのも面白い存在だな——というのを、ここんとこ毎年のように、拝見しています。

 ファンといえば心底、面白いなと思うのはこちらの方だなー。

 アニメ「ガルパン」のファンの方々が、外国の文化財保護にまで乗り出している(結果的に)、というお話。

 フィンランド人と日本人て、けっこう気質が似てるよね、という話題は以前にも聞いたことがあってその辺も興味深いんですがそれはまあ置いといて。

ガルパンとは(コトバンク)

アニメ「ガールズ&パンツァー」の略称。
同作品は、茶道や華道などと同様に、戦車を用いた模擬戦を行う武道「戦車道」が女性のたしなみとされている世界で、戦車戦の全国大会での優勝を目指す女子高生たちを描くというストーリー設定がなされている……



 こちらに登場する戦車は架空のものではなく——「刀剣乱舞」と同様に実際にあったもの、史実というものをきっちり押さえて描かれているわけですね。
 熱心なファンとなれば勢い、そういうアニメ、ゲーム、というところをさらに越えて、奥深い歴史の世界へと踏み込むことになります。

 ——昨今、作品自体はフィクションでも、モデルになっているものや作品中に登場するものは実際あるもの、ということも多く、ファンは関係する実際の場所を訪れるのを「聖地巡礼」といい、楽しむことが多い。

 まあ、ファンというのは、どうしても、好きが高じてある種の熱にうかされた病人みたいなところがあるので、迷惑行為に及ぶ輩もいます。
 そういう場合は「○○のファンはマナーが悪い、態度が悪い」と嫌がられる。これは当然のことですけども。

 でも、自分の熱と現実を切り分けながら、対応できる人たちもいるし、そういう人は、結果的には文化財保護にも協力できるんだったら——いいんじゃないかな。
 作品を入り口に奥深い歴史へ入り込み、さらには過去ではなく現在ただいまの問題にまで取り組むというのは、いいことだと思うんですよね。

 ガルパンという作品がなければ、フィンランドの文化財保護のためのクラウドファンディングのことなどは知りようもなかったはず、と思いますと。
 好きという感情は、(基本的には)偉大なものだとしみじみ思います。

 多少「非ファン」からは気味悪がられるのはしょーがないとして、(--;) でも、その好きのパワーを有効活用できればいいんだろうな。
「非ファン」の方々にもそのへん、迷惑行為がない限りにおいては、大目に見ていただけたらと思います。

 とはいえハルキストの方々には——来年には、もう少し、静かに、村上春樹さんのご心中をも思いつつ、お待ちになる方がいいのでは………ってのは大きなお世話ですね。すみません。(^^;)
 
 
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