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2016.10.01 (Sat)

病気は才能

 それまでの生活態度がアレだったのでそんな病気になるのだ、自業自得だ、だからそんな患者のためにお金を使うな、——と言って(言ったと思われてしまって)、いろいろな方面から怒られている方がいらっしゃる件。

 人工透析というのは、ようは、腎臓の働きを、機械が代わりに行うもの。
 肝心要(かんじんかなめ)という言葉がありますが、この「心」ではなく「腎」と書くこともありまして、重要な臓器である、ということなんですね。

 腎臓の働きは大雑把に言えば「血液をきれいに濾過・浄化する」こと。
 しかし病気で腎臓が十分にその働きができなくなれば、老廃物が排出されないのはもちろん、電解質維持、水分量維持のバランスも崩れる。いわゆる血液ドロドロにもなるし、赤血球が生成されず、血圧の調整もできず、という状態になり、当然、そのまま放置すれば死に至ります。

 糖尿病から進行して行って腎機能が低下(糖尿病だけが原因ではありません)、人工透析、という方もそれなりにいらっしゃるでしょう。透析は患者さん自身にも大きな負担となりますが(2日に1回、数時間かかる、というようなのが通常)もちろん、医療費としても大変なことになる、それも確かです。

 が。しかし。
 透析患者さんのどれほどが「それまでの暴飲暴食、でたらめな日常生活」のせいでそうなったのかは、きちんとした調査はありません。
 それだけを考えても、——彼の言いたいことはちょっと違う点にあるんだとしても、そういう前提を置いた、ということ自体を無視することはできないんだよなあ。(^^;)
 
 先日もどこかでちらっと書きましたが、「病気を何かの『罰』だと見なす」考え方って根強いですよね。
 何か「悪いこと」をしたから病気「なんか」になるんだ、というね。

 病気はネガティブなことでしかなく、マイナスであり、「悪いことへの罰」だという考え方は、現在問題になっているマタニティハラスメントなんかとも根は同じで、
「ありとあらゆる存在は、一定の、画一化された基準の中にあるべきである」
「この基準からはみ出るもの、逆らうものは『悪』である」
「『悪』は直ちに殺すべきものである」
 という思考回路にある。

 白か黒か、前か悪か「しか」ない、こういうのを「二元論」と申しますが、男性原理はこの二元論もまたその特徴であると考えますので——、話が変な方へ行って申し訳ありませんが、まあ二元論、やーですわー、という嫌悪感が募りますな。(^^;)

 けっこう露骨な男嫌いとはいえ、実際に私が嫌っているのはこの「原理主義」。
 で、この原理主義者って、実際のご自分の性別とは関係ないものでもある。
 女性でも、もうバリバリの原理主義者はいます;; 苦手です;;

 この極端な二元論、病気は悪です、悪いことをした(=誰かが勝手に決めた基準に合わない)ので罰を受けるのです、そんな「悪い」奴は殺したほうがいいのです——という考え方は、簡単に優生思想を呼ぶ。
 危ういねえ。

 病気になると自分を責めてしまう人は多いです。自分が何か悪いことをしたのではないか、と考え、罰として受け止める。生きる気力そのものを減退させる原因にもなります。
 ということで、この「透析患者はロクでもない奴ら」だからという前提は、私としても、認めることはできないな、と。

 なんにしろ。
 つくづくこの二元論は危ういと思うし、——そう悪いことばかりじゃないはずだけれど、でも、少なくとも現在の社会では、この二元論は抑制してやっとバランスが取れる、というくらいになっているなと思いますね。

 病気は身体からの何かのメッセージである、なんていうと、メタフィジカルかと、これはこれで嫌な顔をされそうですが、でも、実際、そういうことじゃないですか。仮に「意味」があるとすればですが。

 同じような生活をしていても、病気になる人もならない人もあるわけで、それはもう、物理的には体質、ということになるでしょう。
 タバコと肺がんの因果関係も同じで、タバコを控えろと言われて拒否したある人が「タバコを吸っても100まで生きる人がいる」、と言った時はさすがに私も呆れましたからね。
 だからタバコやめなくてもいいんだと言いたかったようですが。
 なぜそう前提として成立しないことをしゃあしゃあというのか。
 そのへんはいわば体の「適性」で(体質ってやつ)、それをいうなら副流煙少しで発作を起こして死ぬ人もある。それはどうしてくれんの。

 ある物質に対して弱い「体質」のことを「悪」と言いい、「罪とし」、病気はそれゆえの「罰」だという思考回路は、やはり、「一つの基準を決めて、そこからはみ出したものをすべて悪とする」二元論だと思いますね。

 病気は悪でもないし罪でもないし罰でもない。「才能」ですらあるそうですよ。




 医療費対策はともかくとして、「病気は悪」という二元論を徹底的に否定しないといかんなと思いました。
 これは、障害者を始めとする、現在の社会の「スタンダード」から外れるすべての人のために、否定し「破壊」しないとならないようです。

 嫌ですよね、野蛮で。(^^;)
 でも、相手がそれ以上に野蛮なので——、仕方ない。
 自分の品位を保てるところを探りながらブッ潰すってことで、頑張りましょう。
(剣呑;;)
 

 
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