ご隠居さんのオススメ
2016年09月30日 (金) | 編集 |
「(まだ)若い人には負けない!」
 というお言葉を聞くことが結構あります。

 気がつけば私も50の坂が見えつつありまして、友人どもは中学生、高校生の親をやっております。
 そういう年齢になってきて、冒頭のセリフを聞くことが増えてきたなあ。と。(^^;)

 いやもう、そういうことを口走った時点であきらめろよ、と思いますね個人的には(笑)

 気持ちが若いとか若々しいというのは、言い換えれば「健康である」ということ。
 それは結構だと思います。が。
 若いもんには負けないってのはどうもねえ。
 いやあ、負けるって絶対。——そう言っては怒られております、私(笑)

 体力そのものは、病気や怪我がなければ、加齢をしていても維持、どうかすれば増強さえできますが、どうしたって若い人にはかなわないのは回復力。
 これはもう物理的な諸条件が違うんだから、しょーがないでしょう。

 先日も、カルチャーセンターでお世話になっているH先生ともそんな話になったんですが、——あの「若いもんには負けない」というのはやめたほうがいいよねえ。と。
 先生の別のクラスに、60歳代ほどの生徒さんで、そういう「頑張る」方がいらっしゃるそうで、先生としてもときどき、そのケンカ腰のアグレッシブなことには、めげてしまうそう。

 何を持って「勝敗ライン」としているのかがそもそも謎ですし。
「もう年だから」というのは、大抵はただの言い訳なので、これは考えない方がいい。それは同意です。
 でも、へんなふうに若さというものに対して突っ張る、頑固になるべき理由もないんでは。

 心身ともに健康で好奇心旺盛、気持ちが「柔らかい」人って、私も素敵だと思いますが、しかしながら、ほんとうに心身ともに柔らかい人なら、そういう「無駄な勝負」にこだわらないんじゃない?

 私の見解としましては、そりゃもう若い人にはかなわないので、もーどんどん任せられることは任せたほうがいいと思いますね。
「若い人には負けない」どころじゃない、「若い人にはかなわないわー」つって、おまかせですよ。(^^;)

 体力的なことはお任せで、でも、人間やってるキャリアのほうがものをいう、そういう場面では、ちゃんと引き受けてやればいい。
 適材適所というのでしょうか。それでいいんじゃないでしょうか。

 江戸時代の商家なんかでは、なんと40歳そこそこで「隠居」して、さっさと若い人に仕事を任せていた、というケースが見られるようですが、これはなかなかいいシステムだったでしょう。
 まだ余力があるうちに世代交代をしておけば、トラブルがあった時に対応できるんですね、ご隠居さんも。
 ふだんは奥に引っ込んで幇間(ほうかん)さんを冷やかして遊んでいたりして(落語によく出てくる横丁のご隠居さんイメージ/笑)、でも、重大事のときだけ、ちょっと顔を出して、必要のようだったら手を貸してやる。
 用が済めば、また奥へ引っ込む。
「ご隠居さん」は、理想的な世代交代のシステムだなと思ってます。どの人にとっても無理がないから。

 若い者には素直に「負けて」おけばよろしいんじゃないかと。
 で、任せるときにはあれこれを言い置くけれども、実際に任せたら、あとはもう口出ししないで「見て」いればいい。
 放任、というのとも違う。お願いしますね、と言って任せるけど、見てる。トラブルがあったら出ていくために。
(世間ではこの逆をやっている人が多いみたいですけどねー;;)
(だから老害だなんて言われるんだよ;;)

 おしゃれ心を忘れないとか、好奇心が旺盛とか、そういう若々しさは私も是非、と思うけれど、美貌(笑)であれ、体力的なことであれ、そのへんはもう、若い人に素直に負けとけ。と思います。

 人間てのは変な生き物ですね。今日50歳の人だって昔から50歳だったわけもなく、自分だって子供だったり「若い人」だったりしてきたわけで。
 であるならば、若い人の気持ちというもの、わからないはずはない。
 ………と思うんだけどなあ。違うの? (^^;)

 日頃からそんな気持ちでぼーっとしているせいか、私はありがたいことに、お若い人に世話を焼いてもらうことが多いです。
 いやもう今日日の若い人はしっかりしてますよ。エライもんですよ。本当に。

 なんていうと、口を尖らせて反論してくる人もいますが、そういう人は、私の見るところ、「任せる」ことがなかなか、できないようです。
 あれは悪循環ですねえ——任せられない人は、つい、いらぬ口も手も出す。出された方は面白くないからなおさら、自発的に動けば怒られるんだからと指示待ちになる。
 すると、指示待ちには任せられない、と思う。

 任せたら、見てはいるけど口も手も出さない、のは基本なんですが、ご自分が優秀な人にはこれがかえって難しいみたい。
 あたしゃ馬鹿でよかったわ(笑)

 まあ自分が元気なら、誰かにやらせるより自分でやっちゃった方が早い——というのはわかりますが。
 そろそろ、そんな、自分が自分がという「我(が)」も、不要になってきてるんじゃないですかね。

 若い人には負けない! などと変に力むより、頼れるところは頼った方が、何と言っても自分が楽。
 楽、というのは何も、あきらめとか投げやりとかってことではなくて、ですね。(^^;)
 人にお任せができたその分、自分が好き勝手に出来る時間なり空間なりができてくる、ということなんで。

 加齢はどんな人にも平等なもの。好奇心その他を失わずに元気でいることには賛成ですが、本来ライバルでもなんでもない人を「仮想敵」にして、負けない! などというのは——、若い人にしてみても、わけわからん喧嘩を売られるようなもので、困るでしょう。

 もーちょっと自分にも他人にものびのびした心持ちでいる方が、無理をしないで済む分だけ、「心の若さ・柔らかさ」を保てる気がします。(疲弊・消耗しないから)

 若々しい、ということと、「若作り」は、どうも根本から違うものだよねえ——と、H先生と話し込んで、得られた結論はそんなことでした。

 結論。
 ——若いもんには素直に負けとけ(笑)
 
 
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