結局、同類

 なぜ好きかより、なぜ嫌いかを見つめたほうが、意外な収穫があるもの。
 これは私自身の経験からいえることですが、そういう経験を踏まえて思うのは、
「なぜ偽善を嫌うひとは、ああも歯をむき出して『怒る』んだろう」
 そりゃまあ、大抵のひとは偽善などはいやだなと思うでしょうが、その嫌いようはちょっと異常なんじゃね? と思うことが。

 嫌いという感情は自分を守ろうとして出てくるもの。
 自分に害がある、自分を傷つける、そういうものを自分から遠ざけるために、いわば「予防措置」自衛手段として、嫌いという信号が出てくる。

 毎年恒例、すでに40年ちかく続いている「24時間テレビ」を「嫌う」ひとはずいぶん嫌うようです。
 嫌う理由としては偽善であることを、指摘するひとが多いですね。
 でも、テレビ番組の偽善が、その人自身にとってどう有害、その人をどう傷つけるというのか。
 私にはどうもこのへんがわかりません。

 やらない善よりやる偽善、という見方もあって、これはこれでもっともなことです。
 人間、霞(かすみ)を食って生きていられるわけもなし、寄付を募って資金を必要とするところにお金がいく、そのメリットは否定できない。
 
 テレビ番組が偽善であったにしろ、その人自身になんの害もないはずなのに、なんで親の仇みたいに憎むんだろう、と、謎に思っております。

 今年もまたぞろ、「無理やり感動ドキュメンタリー」仕立てにした企画があったそうで、あいかわらずだねえ、と、私もその辺はたしかにうんざりしますね。
 障害者は健常者の「娯楽」として「消費」されるために存在してんじゃねえんだ、という主張もあります。
 障害者も人間ですから、キレイごとではないし、そんな感動感動の嵐になるはずもない。ひとが生きていく現実は、絵物語じゃない。
 それなのに、へんなふうに物語を「設定」したり編集したり、はなはだしくは「捏造」して、「娯楽」にする——というのを表現するのに「感動ポルノ inspiration porn」にされる、という言い方をするひともありますね。

TED日本語 - ステラ・ヤング: 私は皆さんの感動の対象ではありません、どうぞよろしく
http://digitalcast.jp/v/20158/

 こちら↑のページにはヤングさんの講演の動画と、それを文字起こししたもの(日本語/英語/日英併記)がありますので、よろしければご参考まで。

 私個人は、たとえそれが実感であるにせよ、感動ポルノという表現には感心しません。ひとの興味を引きたいだけなら効果的な表現ですが、ポルノとはやはりどぎつい表現です。そのどぎついところ、ゴテゴテしたところばかり注目される恐れもある。そうなれば、本来、伝えたかったはずのところから人々の視線がそれる——それは不本意なのでは? と思うと。
 的確ですばらしい表現ですねという気にはなれない。

 でも、なにはともあれ世間から注目されたい、無視されるくらいならまずは知ってもらいたい、ということで、あえてその下卑た「演出」「偽善」でも利用する——そういう考え方もある。

 そういう考え方をみれば、私としては24時間テレビを見る「義理」はないけど、あんなに目を三角にして怒る理由もない。——そういうことになる。

 そんなに24時間テレビが目障りなら見なければいい。
 民放のテレビ局のことですから、視聴率も取れず、スポンサーも付かずとなれば、やめるか、規模を縮小するしかなくなるわけですから、あんなものは見ない、という方向へいくべきものと考えます。

 でも——今年は私は見かけていませんが、100kmものマラソンの、コースをランナーがショートカットしたとかしないとかという、細かい「検証」が出たりしますね。
 じつはランナーはあんな距離は走っていない、嘘だ、偽善だ、ヤラセだ、——というわけです。

 でも、私が感心したのは、「よく見てるんですねえ」ということ。

 ランナーの様子がいつ放映されるかは随時ってことで決まってはいない。なのに、何時何分にここ、つぎには何時でここにいたから、ショートカットしたにちがいない、という検証をするには、文字通り、24時間、テレビに張り付いていたことになります。
 よく見てますね。(^^;)
 ここまでくると、もう執着しているといったほうがいいレベル。

 嫌いという感情は本来は、有害なものから自分の身を守ろうとする反応だとすれば。
 なぜ、嫌いと言っていながら、そんな熱烈なファンみたいな行動を取るんだろう?

 なんにしろ、「嘘をついてひとを貶める」のは論外ですけどね。

 24時間テレビが「感動ポルノ」のオンパレードで許しがたい、と思うのは勝手。
 あんなものやめるべきだ、という主張も、どうぞお好きに。
 でも、ないものをあったかのように「捏造」して、そのイメージを悪くしてやろうというのは、これはもう犯罪の範疇に入ります。

24時間テレビの両足麻痺の男の子の登山についての誤情報が拡散していく様子を御覧ください
まとめました。ただ個人が情報をかき集めてまとめた代物です。問題点、誤情報がありましたら是非ご指摘下さい。
http://togetter.com/li/1017595



 私はまったく見ていないのでなんとも申せませんが、感動ポルノは気持ち悪いというひとが、ありもしない「物語」を作り上げたとしたら。
 なぁんだ結局はあんたら「同類」なんだね、ということになります。
 嫌いっていっても、この場合は同族嫌悪なのかしら。

 いちばんの感想は「ヒマだねえ」ではありますが、でもまあ、いろいろ興味深い現象を見ることができる。
 それは確実に言えることのようです。
 
  
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