名誉を、名誉あるひとに
2016年08月22日 (月) | 編集 |



 もう何年も前、テレビ番組中で聞いた、あるオリンピックゴールドメダリストのお話が忘れられない。

 同じ競技種目の選手達が帰国してきて、空港で人々のまえに姿を現わす、その出口がね。
 メダリストと、そうではない人では出口や通路を分けられているそうで。
 
 これはたぶん、不本意ながら成績としてはふるわなかった選手達の気持ちを慮ってのことではぜんっぜんなく、ただ、報道する側のご都合でそのようになったんだろうと予想してます。

 そのかたの場合は、そういう扱いの「差別」に衝撃を受け、けれども次のときにはそれを発奮材料として金メダルを勝ち取った、という、いわば「成功の陰に苦労と努力」の、典型的なお話になってました。

 私はどうも、この話を聞いてから、あのメダリスト「お出迎え」を、気持ち良く見られなくなりまして。
 なんでメダリストばっかりちやほやすんの。全力傾けて戦ったひとみんなを歓迎すべきでしょうが。
 あーもやもやする。と思っていたら、上記の通りのツイートがあり、いやもう、本当にそうですよねえ、とウンウンうなずいてました。

 オリンピアンというもの、それ自体が、本来は名誉と栄光ある存在なんですよ。
 競う、ということ、それ自体を、認め、称揚するものでしょうよ。
 それなのになぜ、——ご本人達が勝敗にこだわるのは当然でしょうが、私ども「見てるだけ」の赤の他人が、「あいつ負けやがった」といって「見下し」たり、差別したり、あまつさえ「怒る」のか。
 勝てば勝ったで気持ち悪いほどの賞賛、そしてくだらない質問の嵐を浴びせ——好きな女性のタイプは?——、人寄せパンダ扱い。

 どちらにしても、アスリートそれ自身にたいする敬意も尊敬もあったもんじゃない——というのが、私が気持ち悪がっているところ。

 赤の他人が、負けたということで「怒り狂う」のも意味がわかんないし、勝ったということで「郷土の誇りです」なんていうのも意味わからん。
 アンタがこの件についてどんな努力や貢献をしたっていうの?

 オリンピックでメダルを取ると、急に「同級生」や「親友」や「恩師」や「お世話になった人」が増えるから大変でしょ? どうかしたら「親戚」すら増えるもんね。
 ——というのは皮肉でいっているのですが、たまに、その皮肉に気づいてももらえないときがあって、ちょっと呆然とする。(^^;)

 自分の立場はなにかというのを見失い、他人を自分のおもちゃにするのも、あるいは誰かの栄光に「乗っかる」いじましさも、私の目には醜いものとしか映らない。

 誰が主役なのかはっきりさせようか? そうしないとわからないんでしょ? ——と思うわけです。
 金も出さないくせに口を出すことだけは1人前以上の「やじうま」が、主役ではない。
 主役はあくまでも、アスリート——ここでは、栄えあるオリンピアンたちです。

 そのへんがもう、でたらめなことになっているのが現状・現実なんだけれど、もういちど、その無茶苦茶でデタラメになっているものを「掃除」して整理整頓できないものかと思います。正直なところ。

 メダルがあるかないかは時の運。メダルがあろうがなかろうが、立派なオリンピアンとして精一杯戦ってきたなら、そのことだけでもう、充分な名誉。
 通路を分けて「差別」するってね——よくもそういうことを恥ずかしげもなくやれるもんですわ。

 不本意な成績に自身を責めているひとは、あまり人前に出たくないという気持ちになるかもしれない。そういうひとは、ご本人の気持ちの通りになさればいい。
 でも、私ども「やじうま」は——自分には手の届かないほどの世界で戦ったひとたちはすでに神にもひとしい。はっきりいうなら自分よりもはるかに「上」にいる人たちだということを、きっちり認識しましょうね、ということ。
 そしてその神にもひとしいひとたちの、その名誉を、讃えるだけなんじゃないでしょうかね、野次馬にできることは。
 
 自分より上位にあるひとを、上位だと認めることができず、無理やり彼らを自分と同じレベルに「おとしめる」ことが、「親しみ」だと思っている。
 いいかげん見苦しい態度はあらためて、名誉は、名誉あるひとに還すのが筋ってもんじゃないでしょうか。

 オリンピックはたぶんもう、いろんなところで本質を失っていると思うけれど、それは見る側にも言えることなんでしょうね。
 誰がなんといいつくろってごまかしたって、腐ってるものは腐ってる。きれいごとを並べていれば腐敗がおさまるなんてあるわけない。

 その腐敗をとめて「本来の」姿を思い出す——そろそろ、そういうことを考えてもいい時期にきているんじゃないかなと思って拝見したツイート。



 なんにしても、オリンピアンたちには拍手と栄誉を。
 ——クスリまみれでその肉体を損なっているものが混ざっていたとしても。

 肉体と魂かけて挑んだ、そのことだけは、失われない。
 ほかにはどれほどの腐ったものがあろうと、競い合うその瞬間にだけは、たしかに真実があったはず。
 そう思いますので。
 
  
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