イメージの上書き
2016年07月30日 (土) | 編集 |
 CSIの各シリーズは、WOWOWさんでも放映があるのに、(せっかく契約しているのに)そちらでは見てなくて、BSの無料チャンネル、Dlife(ディーライフ)でのんびり見ております。

 昨夜は、マイアミとNYの「相互乗り入れ」のお話でしたが、これが2004年だったそうですから…もう12年前のものになるんですね。

 CSIシリーズの大ファンとはいえませんが、それでも各シリーズは楽しく(見られる範囲内で)見ております。
 その各シリーズのなかでも、マイアミの主人公たる、ホレイショ・ケイン警部補は印象の強い登場人物となりました。

 そもそもその名前からして、へー、でしたね。ホレイショ Horatio はシェイクスピアの「ハムレット」の親友という人だし、ケインは、聞いた瞬間連想するのは、旧約聖書の「カインとアベル」のカインの英語読みかと思われるし。

 いま見たらケインの綴りは Caine でした。聖書のカイン→英名ケインはCain だそうなのでちょっと違うんですね。(^^;)
 なお、同じケインでもKane というのはアイルランド語の男性名がルーツとなるそうです。

 ともあれそんなわけで名前からしてけっこうインパクトあるんですが、他のシリーズと比べても格段にこの方は固ゆで卵。
 大きいことはいいことだという価値観、女性にすらマッチョイズムを善として押し付ける、おそるべき一神教的マッチョ崇拝文化の(このへんひそかに悪口です)、その理想形を人物にするとこうなる、って感じだなー、と、最初は、わりと冷たい目で見ておりました。
 が。
 このかたの、もうとんでもなくやさしい性格というものも描写されるんですね。
 やさしいというのは結局、「人の感情の動きがわかる」ということであり、人の痛みがわかるというのみならず、それ以外の心の動き——怒りも恨みも、保身に動くこともその後ろめたさも——「心理」がわかるためには自分自身に、それを感じとるだけのセンサーが必要ですが、彼にはそれがある。

 いちばん心にしみたのは、確実に死に向かっていて、すでにそこから戻ってくることはできないとわかってる人への態度をみたとき。
 ありきたりななぐさめ、無意味な励まし、——もう確実に自分の死を見つめている人間には「顔色がよくなってるよ大丈夫だよ」というへたなポジティブさって、逆に嘘くさくてやってらんないわけですよね。
 ホレイショさんはそれがわかっている。
 死にゆく人がもっとも求める誠実さをちゃんと示した、——それを見て。

 いかにもなマッチョキャラかと思っていたら、このうえないやさしさをも持つ人なんだなあ、と、思いまして。

 驚いたのは、そのマッチョとやさしさの「両立」がされていたこと。

 私にとっての「男らしさ」というのは正直いってろくなものではないんですよね。私が、まあ男らしいのねえなんて言ったときは褒めているのではぜんぜんなく、「脳みそ筋肉の暴力馬鹿」といって罵倒しているわけです。

 かなり露骨に男嫌いですというのは、こういう次第。(^^;)

 まあ、このへんは親子関係の不幸からきておりまして、どっちかというと家族間の問題であり、世間一般の男性諸氏にはじつは関係ございません;; なにとぞお気になさらず。
 こどもにとっては親が世界の全てであり、あらゆる「原体験」は親による、といってもいいくらいなんですが、——私の親父は、残念ながらそういうイメージを自分の娘に植え付けるようなやつだったという、それだけのことでございます。

 で、無意識に、「男性的」であることはいっさいの情を理解しない、冷血漢というのか、もはや人間ではないくらいのレベルで、「ものがわからないやつ」なんだというイメージがあった、ということですね。

 これはなかなか自分でも自覚するのは難しいことで——、ああそうなのか、と、ホレイショさんの造形をみたときに、二重に納得したんでした。
 つまり。
 自分がそういうひどいイメージを持っている、ということと。
 それは、「正しい」認識ではない、ということ。

 この2つを、同時に理解できた。

 そのひどいイメージも、そういうものがあるのだと自分でつかまえることができたなら、少しずつでも、「上書き」していくことが可能なんですよね。
 いちばんいいのは、いちどすっきり「初期化」して、きれいにデータを入れ直すことですが、人間の意識はつねに動いているので、ROM 差し替えってわけにはいかない。

 それでも、そういうものがある、とわかっただけでも、ずいぶん「めっけもん」でした。
 そのイメージの上書きのひとつになってくれたのが、ホレイショ・ケインさんの「造形」でした、ということで。

 考えてみると、なかなかの「恩人」だと言えますね。+.(*'v`*)+

There are more things in heaven and earth, Horatio
 Than are dreamt of in your philosophy.

天と地の間にはな、ホレイショー、
お前の哲学では思いも寄らない出来事が随分あるぞ。

 (「ハムレット」一幕五場)


 
 
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