永遠
 ツイッターでお見かけして、見出しだけでその劇的であることに興味を引かれた記事。
「テキサス州在住のとある夫婦、互いに手を握りあい、寄り添いあったまま、死出の旅へ」



 へー? と思って記事本文を読みに行って、もう、ボロ泣きです;;

A Texas couple died side by side while holding hands
TIME.com ‏@TIME 7月14日
 
 高校生とか二十歳とか、そんなあたりで出会い、結婚し、3人のお子さんにも恵まれ、以来58年。
 琴瑟相和す、という言葉が思い浮かびますね。

 おふたりとも認知症もあったとのことですが、お話ぶりからするとそちらはさほどの重症でもなかったのでしょうか。
 入院しても、ベッドを並べて手を握り合っていたというのですからもうね——なんとも言えませんね。
 
 認知症になると不安感、恐怖感が強く出るようですが、このおふたりに限ってはそれはなかったのかな、と思えてくる。

 ご主人の方が脳梗塞か何かと思われますがそういった発作でお亡くなりになり、奥様はその手を握ったまま、3時間後に息を引き取った、と。

 娘さんのお話では、奥様は以前から、「自分が死ぬときはあなたのお父さん(つまりご主人ですね)を連れていく。お父さんも、自分が亡くなるときは、私を連れていく」ということをおっしゃっていたそうで。
 もちろん娘さん達はそんな話はまともに取り合わなかったでしょうけれども、「その通りになったわ」というコメントを読んだら、いやはやもう——滂沱滂沱でタイヘン。(^^;)
 こういうお話ってなんでこうも感動してしまうんでしょうね。
 
 ただ。
 そりゃまあたしかに「永遠の愛」は麗しいものだしこうしてじっさいのお話を聞けば感動もするし、世の中にはそういう人もいるんだねえと感心しますが。

 どうでしょうね——「自分が死ぬときには相手をも連れていく」って。

 これは、このご夫婦のあいだでしかわからないことですが、でも、そこまでくるのもすごいことだな、と。
 これはやはり、もう天寿を全(まっと)うしたと言えるくらいの年齢だから、思えることなのかな、と思ったり。
 
 あるいはこのご夫婦の場合は、年齢が20だろうが80だろうが同じこと、その結びつきは変わらない——ということかもしれませんが……。
 
 自分が死ぬときには相手を連れていくし、相手もそうする、というのは——意外や、私には100%の賛成はないな、と思いました。
 これだけ長く人生を生きてきた方なら、それもわかる。
 でも、もしこれがまだ30、40歳なんて年齢だったら——必ずしも、そうは言えない気がします。

 これ、私だったらどうかなあ、——と、鼻をかみながら思ったんですが。
 私にとってはただの妄想でしかない仮定ですが、でも、ちょっと考えてみました。
 結論としては、………連れていくってことは考えないだろうな、と。


 ロシアの詩人で、プーシキンという人がいまして。
 彼は、自分の妻君に言いよった男と決闘し、そのときの怪我がもとでお亡くなりになるのですが、彼の遺言というのが、こちら。
気にするな。お前は悪くないんだ。みんなオレのしたことなんだ。誰からも忘れられるように田舎へ行け。そして二年間だけ喪服を着てくれ。そのあとは再婚……今度はもっとましな男を選ぶんだな

 ………こっちのほうが「わかる」気がするんですよ。
 自分がいなくなったらさっさと「次」を見つけて幸せになってねというほうが。

 こちらはまだお若くて、プーシキンは満年齢で37歳(誕生日まえだった)、妻君のナターリアにいたっては25歳。さすがにこのへんでは、連れていくとは思えませんよね。(^^;)

 自分が連れて行かれるのはぜんぜんかまわないけど、連れていくという気になることはまず、ないだろうなあ。
 永遠の愛とやらがあるものだとしても。
 俗世における「事情」は考慮される気がする。

 私はこの世をあんまりいい場所だとは思っていなくて、情熱も未練も薄いのですが、それは自分についてのことであり、他人にも同じことを強要しようとは思わない。
 この世に生きられる限りはそうあるべきだと思うので、連れていくとは思わない、その可能性が高い。

 それでも。
 このご夫婦の、互いを頼りとしあい、互いに隣にいるのが当然の存在と思いあい、「死がふたりを分かつ」ことをさえあっさり斥(しりぞ)ける姿は、もはや愛情というより「信念」と呼びたいくらいの、強いものを感じます。

 それにしてもまったく世にも稀な美しいお話で。
 人間同士のことですから、ご本人がたにしてみれば美しいとはいえないことも多かったと思われますが、それでも、——いいお話を聞かせてもらえて、よかった、と思いました。
 
 
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