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「だからあなたは今でもひとり」



読書メーター」の感想・レビューで書いてる人がいましたが、じっさい、このタイトルひどいですよねー。(^^;)
 原題は「MARS AND VENUS STARTING OVER 」火星人と金星人の——この場合は「再出発」って意味になりますかねえ。start over, start all over で、(いちから)やり直す、という意味になるようなので。

 ってことで、これは副題が説明する通りで、なにか、誰かとのつらい別れ、そのつらい経験から「正しく」回復するための本。ですね。

 邦題は、原題をかすりもしていないという。(^^;)
 まあ、本屋さんに並んで、人目を引いて、手に取ってもらわにゃいかん、ということで、こういうことになるんでしょうが……あんまりインパクトありすぎて逆に手に取るのをためらわれるんじゃないの? という気がする。(^^;)

 それがどういうものであれ、なにかしら、心の傷となるようなつらい経験をまったくしない、という人も、そうそう滅多にいるものではないでしょう。
 人には、そういう傷を自分で治癒し、回復するだけの能力はちゃんと備わってる。だからそのあたりは心配しなくてもいい。ただ、——ちゃんと傷を治して、回復しているのならいいけれども、傷をそのまま放置して、ただ「ふた」をしているだけ、自分ではもう立ち直った気でいるけどぜんぜんそうじゃない。傷も痛みも、そのままにして、過ごしている人も少なくない。

 癒すべき傷をそのままに次へ進もうとしても、その傷があるためにかえって、同じことを何度も繰り返したり、自分も他人も傷つける結果になってしまったりする。
 その傷は、ちゃんと治せる。
 どれほど時間が経ってしまったものでも、「手遅れ」はない。
 治せるから、——ちゃんと治していきましょうね、というのが、本書の語るところですね。

 本書は、パートナーとの生別、死別、失恋、という経験からの「立ち直りマニュアル」でもありますが、特徴的なのは、男性女性、それぞれ、気をつけるべきことも、対処法も違うので、男女別に解説していること。

 男女ともに共通するのはとにかく「自分の傷——感情から逃げない」こと。

 それがどういう別れであったにせよ、なにか、誰かと別れるのは、悲しいこと、心の痛むこと。
 その悲しみから逃げない、目をそらさない。
 悲しみをそのまま感じるというのはなかなかつらいことですが、ここを通過しないと「回復」もない。

 その心の痛みと向き合わないと回復しない。
 本当にその痛みを乗り越えられたかどうかはわりとすぐわかることのようで——、本当に痛みから回復したのなら、あなたは傷つく以前よりも、豊かな愛を感じられるようになっているはず——とのこと。

 ただし、回復には時間がかかる。
 頭はさっさとすませていこうとするけど、心はゆっくりにしか動かない。
 頭のほうはオフにして、心のペースに合わせていくこと。——だから時間はかかる。

 以前より豊かな人間になるどころか、臆病になったり意固地になっているようなら、ちょっと考え直しましょうねというお話。

 その心の痛みから回復するにはともあれ、悲しみを味わい尽くすこと——悲しみ以外の感情、「怒り」「寂しさ」「恐れ」そして「悲しみ」、この4つを「等しく」「バランスよく」感じることで、思い出しても、もう以前のようには心の痛みはなくなり、より豊かな愛へ踏み出せる、と。

 具体的な方法は、まあ中身を読んでください、ってことで。(^^;)
 じっさいこれ、解説とマニュアルだともいえますね。12週間を使っての「回復のプログラム」や、その4つの感情に向きあい、回復していくのに効果的な質問が示されてます。
 
 で、これまであいにく、その4つの感情をバランスよく味わうことなくきてしまい、「こじらせた」状態の「症例」は、女性23タイプ、男性22タイプ、具体的に挙げられています。
 あー、あたしコレだわ、と思うタイプも、1つだけではないかもしれない。複数のタイプの混合型ということもありそうです。

 なにしろ、仮説があってフィールドワークした、というのではなく、じっさい何万人という人々のカウンセリングから得られたお話ですから、実践的です。

 で、男性と女性とではその具体的な対処法が違うのは、これはもうしょうがない。これは主義主張やイデオロギー、ジェンダーがどうたらということとはまったく無関係のレベルのことですから、そういうややこしい話は持ち込まないように。

 大事なのは傷と痛みを癒して、愛情深い人間になっていくことなんで。

 その回復期に留意することが男女では正反対ってところが面白いんですが、いまちょっとその箇所が見つからない……あとで見つけたら追記します;;

 読書メーターのレビューに、いまある心の痛みを過去の経験と結びつけるとか、親とのことにまで結びつけるのはどうなのか——という疑問を示したものもありましたが。
 まあだいたい、人間関係のつまづきは、最終的には、ごく幼い頃の親との関係のなかに見つけることができる。そういうことは多いようです。
 それは、でも、仕方がない。赤ん坊で生まれてきて成長するしばらくの間は、親が、自分にとっての世界の全てですから。

 いい悪いじゃないし、親がいいとか悪いとかじゃない。親だって人間なんだし、親子といえども相性はありますからね。
 誰を責めなきゃいけないって話じゃない。——「自分の心」の痛み。問題はそれだけ。

 こういうアプローチより他の方法のほうが「合ってる」って人も当然あるでしょうし、そのへんは、そんなにこだわらなくてもいいでしょう。

 ただ、さすがにすんごい数のカウンセリングから得られただけのことはあって、なぜ自分はこうなのか、なぜあの人はそうなのか、どうすればいいのか——とは思いつつ、答えは皆目見当もつかないし、どうすることができるとも思えないから、仕方なく「見て見ぬ振り」で過ごしてきたことが、精密機械を部品単位まで分解して整然と並べていくような解説は、読んで損はないと思いますね。

 心の痛みに誤った対応をして現れる、それぞれの「タイプ」のなかに、多くのヒントもあるでしょう。

 私個人としては、ときどき他人から「あなたはひとりでも生きていけるよね」というような言い方をされる、その「意味」がわからなかったんですが、ああそういうことだったのか——と、腑に落ちましたおかげさまで。
 その「こじらせ」たものを、いまからでも癒せるのかどうか——、もちろん著者は、できる、とおっしゃるわけですが。

 この本は、アメリカでは圧倒的に男性たちに読まれたそうですが、無理もないなあ、と思います。
 痛みや悲しみや……そういうものを、「表にあらわす」ものではない、という文化的なプレッシャーが、そうとう強い社会みたいですね。
 心の痛みの対処法をかくも具体的に示してくれるものって、なかなかないんじゃないかな。

 またこれは話としてはパートナーとの別れの痛手という話が多いのですが、主眼は「心の痛みからの回復」なので、それ以外の衝撃からの——ペットロスにしろ、著者のグレイ博士ご自身のように家族を殺されるというような事件にしろ、ひどいショックを受けた人すべてに、対応している内容だと思います。

 どれほどの古傷でも、何年も何十年も経過していても大丈夫——人は、自分の傷を治癒する能力があるから。と博士はおっしゃる。

 その痛みから回復できたときには、あなたは以前よりも、広やかで豊かな愛情をもつ人間になっているよ、——というのは、やさしい希望の言葉だな。と。
 そんなふうに思います。
 
  
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