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勇敢な王子様

星の王子様とバラ 49679218

「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。
 いちばんたいせつなことは、目に見えない」



 とにかく私は「言葉」に飢えている人間だという自覚がありまして。

 子供の頃から本を読むのが好きで自分でもあれこれ書くのが好きで。
 ことに日本語のありがたいところはバリエーション豊富ってところでして、同じことをいうのでも少し異なる表現を取ると印象がらりと変わる。
 どれほど深みにハマっても飽きることはいまだにない。

 言葉は、ただ時代や文化を映すのみならず、ことに人の心、意識というものを——本人がまったく自覚できない無意識の世界まで——鏡よりも正確に映し出す。
 それゆえに、私にとっては、言葉は、この人の世を生きるうえでは不可欠なものなんですよね。

 私にとっては、生きている人間ほど恐ろしいものはない。
 人間というものが怖くてたまらない。「人間不信」「人間恐怖」は幼少の砌からいっさい変わらない。
 こんな恐ろしいものに関わりたくない。怖い。できれば離れたい。でも、それも許されない。
 そういう人間にとっては言葉は、この恐ろしい怪物を「知る」ことで、ようやく、その恐れを軽くしてくれる——そういう大事なもの。

 なにを自分の「根拠」とするかは人それぞれでしょうが、私の場合はそれが「言葉」だ、ということですね。
 喧嘩する時は理論武装するというのも、そういう理由から。(^^;)

 基本的にはこの世は、私にとっては、まったくの闇の世界です。
 あるいは、方角さえもつかめないような、日の光も届かない、深い森。

 そういう場所をそれでも歩いていかなければならないときの対処法が、私にとっては「言葉」を拠り所にして手探りでいく、という方法なんでしょうね。
 自分なりに少しずつ「目標(めじるし)」を見つけては、ただの白紙に記す。これを重ねていけば「地図」になっていきます。私はそれでやっと歩いていける。
 
 なのに、この目標もなしに森の中を歩けと言われたら、もう迷うしかない。

 言葉は「たかが」といえば、「たかが」というべきもの。
 けれども、この小さい目標をたしかに見つけられれば、誰もわけいっていけないような暗い森のなかも、ひとりでちゃんと歩いていける。

 危険な場所を歩くときの「目印」は、水や食べ物と同じ「ライフライン」だと言えます。

 ビビリのくせしてそういう深い闇へ入っていくほうが悪いと言われれば、それこそ返す言葉もございませんが(笑)。
 でも、自分なりの「道」がある場所なら、行かざるを得ない。——そういうもんじゃございませんか。

 そんな人間には、——そういう次第ですから、言葉のあるなしは死活問題。
 なかなかこの感覚、ひとさまにはわかってくれとは言いにくいんですけどねー。(^^;)
(じっさい、そんなことを他人に求めたことはほぼない)
(理解を求められたほうが困るだろうと思われるので)

 サン=テグジュペリの思索はそれこそ、その深い闇がつづく森のなかを歩いていた人のもの。
 そんな危険な場所へ行くことはないのに、とバカにしてくる人をさえ、魅了するものがありますね。

 星の王子さまは子供のときよりも、大人になってから読んだほうが、胸に刺さる「思索」の連続だと思います。

 サン=テグジュペリもまた、深い闇をさまよった人。
 でも彼は勇敢な人だったので、——本人は、勇気なんてたいしたものじゃないと謙遜してますが——こういう作品を残せたのだと思います。

 王子様とバラ——サン=テグジュペリとコンスエロというのも、聞けば聞くほど気の毒なものがありまして;;
 その事情を知ってから「星の王子さま」を読むと、うーんと唸ってしまいます。(^^;)
 
 どんなに簡単なものでもいい。ことばを、そこに置いて欲しい。
 どれほど小さな目印でも、目印があるなら、地図を作りながら歩いていける。

 そのわずかな目印をなにも受け取ることができないとしたら。
 それはもう、私にとっては拒絶されているということになります。そういう意図があるなしに関係なく。
 私からすればそれは、歩くな、こっちに来るな、と拒否されたのと同じ。

 言葉は、——王子さまのいうところの、「目には見えない、たいせつなもの」と、目に見える世界を結ぶための、小さくてはかない、でも、失くせないもの。
 そのように思います。

▶︎リトルプリンス 星の王子さまと私 星の王子とバラ
約105mm ポリストーン製 塗装済み 完成品 フィギュア エクスプラス

little-prince.jpg


「じゃあ秘密を教えるよ。
 とてもかんたんなことだ。
 ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。
 いちばんたいせつなことは、目に見えない」
「いちばんたいせつなことは、目に見えない」
忘れないでいるために、王子さまは繰り返した。

「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、
 きみが、バラのために費やした時間だったんだ」
「ぼくが、バラのために費やした時間・・・」
忘れないでいるために、王子さまはくり返した。

"And now here is my secret, a very simple secret:
It is only with the heart that one can see rightly;
what is essential is invisible to the eye."
"What is essential is invisible to the eye,"
the little prince repeated, so that he would be sure to remember.

"It is the time you have wasted for your rose
that makes your rose so important."
"It is the time I have wasted for my rose--"
said the little prince, so that he would be sure to remember.


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